健康診断を受けると、さまざまな検査項目があり中には聞いたことがないものもあるかもしれません。
初めて聞く項目に異常値があると途端に「どこが悪いの?」「どうしよう…」と不安になってしまいますよね。
今回は数ある検査項目の中でも「Non-HDLコレステロール」についてご紹介します。
Non-HDLコレステロール値に不安がある方必見。Non-HDLコレステロールを下げて健康体を目指しましょう!
この記事のもくじ
Non-HDLコレステロールを下げる一歩は生活の中にある
Non-HDLコレステロールが高く高度異常値と判断された場合には薬物療法を含む治療が必要となりますが、正常値よりも少し上回る程度であれば、治療ではなく生活の中での工夫や意識が必要となります。
これは正常値であっても同様で、Non-HDLコレステロールが高いことがリスク因子であることは間違いなく、誰の身にもNon-HDLコレステロール値が上がることは考えられるからです。
では、Non-HDLコレステロール値を下げるために日常生活の中で意識すべきことや工夫にはどういったものがあるのでしょうか?みてみましょう。
食生活の見直し
私たちは普段、食品から取り入れた栄養素で健康を保っています。だからこそ「何を食べるか」はもちろんのこと、食事の採り方やタイミングも重要なのです。
しかし、忙しい毎日を送る中で食品を意識するのは難しく、食生活の乱れがNon-HDLコレステロールを高める大きな要因となっていることは間違いありません。
では、食生活の見直し、改善方法や意識すべきこととは?
意識的に摂取したい食品
Non-HDLコレステロールを下げるために意識して摂取したい食品がこちらです。
- 青魚
サンマやアジ、イワシなどの青魚に含まれるオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)はLDLコレステロール低下に効果的。
Non-HDLコレステロール高値でリスクが高まる動脈硬化を防ぎ、血をサラサラにする効果を期待できます。 - 大豆
大豆から作られる豆腐や納豆、味噌、豆乳などには、血管に付着したコレステロールを溶かすレシチンが多く含まれています。
イソフラボンにも、LDLコレステロールを下げる効果を期待できます。 - 食物繊維
ゴボウ、かんぴょう、オクラ、ひじき、わかめなどの水溶性食物繊維は血中コレステロール値低下・脂肪肝の抑制・肥満や糖尿病抑制効果を期待できます。 - 酢
酢に多く含まれるクエン酸やアミノ酸には、血液がドロドロになるのを防ぎ、血流の循環をよくする効果がある。
さらに、血液中の中性脂肪を抑制できるので動脈硬化をはじめとする疾病防止を期待できます。
バランス重視!食べ過ぎ注意
肥満を抑制することも、Non-HDLコレステロールを下げるためには必要です。
上記で記載した食品を意識的に摂ることはもちろん、栄養に偏りが出ることのないようバランスを重視しましょう。
「日本食」はコレステロール抑制のための食事の理想とされています。魚を中心としたタンパク質、醤油や味噌などの調味料には大豆製品を用いた高タンパク低カロリー摂取を可能としています。
さらに、食べ過ぎはもちろん、早食いやまとめ食いは避け、腹8分目を意識することも重要です。1日3食、なるべく決まった時間に食事を摂ることも、摂取エネルギーを減らしてNon-HDLコレステロールを下げるために必要なコツです。
適度な運動
適度に体を動かすことは、摂りすぎたエネルギーを消費して脂肪の蓄積を防ぐだけでなく、血行を改善して血管を広げる効果や動脈硬化予防、Non-HDLコレステロールを下げる効果を期待できます。
運動不足の状態だと、動脈硬化が進みやすく、さらにNon-HDLコレステロールが高い人であればさらにリスクが高まることになりかねません。
日頃から体を動かす習慣を身につけるようにしましょう。
運動には大きく分けて2種類あり、「有酸素運動」と「無酸素運動」です。
どちらも体に違った効果を促すため、できればどちらも生活に取り入れたいところですが、忙しくて時間が取れない方、あるいは元々運動の習慣がない方であれば「有酸素運動」を優先的に行いましょう。
取り入れやすい有酸素運動がこちら。
- ウォーキング
- ジョギング
- 水泳(水中歩行)
- ヨガ
開始してから15分ほどで脂肪が燃焼をはじめるため、目安としては30分程度行いましょう。
ただ、毎日運動の時間を設けるのが難しい、負担になるという方は生活スタイルに運動を取り入れるだけでも十分効果的です。
たとえば、通学・通勤時に1駅分歩いたり、エレベーターやエスカレーターを使わず階段で昇降運動、家事の合間に軽いストレッチを行う、など簡単なものでOK。
せっかく運動を始めても、1日や2日でやめてしまったのでは意味がありません。無理せず継続して行えるものを選びましょう。
さらに慣れてきたらスクワットなどの筋トレを追加すると、代謝が上がり痩せやすい体になり有酸素運動の効果も高めることができます。
喫煙習慣の見直し
「タバコは百害あって一利なし」という言葉が表しているように、タバコは体にとって有害となるものばかりです。
タバコの煙には4,000種類以上の化学物質が含まれており、そのうち約200種類が有害物質です。
タバコはHDLコレステロール(善玉コレステロール)を低下させる作用があるため、Non-HDLコレステロールを高める大きな要因となります。
さらに、血圧を上昇させ、血流悪化、さらには血栓(血の塊)を作りやすくするため動脈硬化リスクは高まる一方です。
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Non-HDLコレステロール上昇だけでなく、万病の元と言っても過言ではありません。
過度なアルコール摂取
アルコールはタバコとは違い、適量であれば体に害を及ぼすことはありません。
しかし、過度な飲酒はNon-HDLコレステロールを増加させ、動脈硬化リスクを高めます。
それだけではなく、過度な飲酒により考えらえるリスクは以下の通りです。
- 肝機能低下
- 高血圧
- 膵炎
- メタボリックシンドローム
- 脂質異常症
など。
適量を意識することはもちろん、週に2日程度は休肝日を設けて体を休ませることも必要です。
過度な緊張やストレス
ストレス社会で生きる私たちは、仕事や人間関係などさまざまなストレスを抱えており、ストレスを全く感じない生活を送るのは不可能と言っても過言ではありません。
しかし、人はストレスや緊張を感じると交感神経が刺激されて血圧や血糖値の上昇を引き起こします。
さらに、それに反応し抗ストレス剤である副腎質ホルモンが分泌されます。この副腎質ホルモンの材料こそLDLコレステロールであり、血中LDLコレステロールの増加に繋がります。
先にも述べたように、ストレスや緊張を全く感じない生活を送るのは困難です。しかし、ストレスを蓄積させない工夫や生活であればできるはずです。
ストレスは気づかないうちに蓄積しているもので、症状が出てからでは手遅れになりかねません。
日頃から自分流のストレス発散法を見つけ、適度に息抜きとして取り入れることがストレス蓄積を防ぐ方法といえるでしょう。
Non-HDLコレステロールとは何か
Non-HDLコレステロールを下げたい、下げるための努力をする。これは健康を手に入れるために必要なことです。
しかし、そもそもあなたが下げたいと思っている「Non-HDLコレステロール」とは何なのでしょうか?
Non-HDLコレステロールとは何なのか、異常値であることでどういったリスクがあるのかについて知っておくことは具体的に正常値を意識する上でとても重要です。
では、そもそもNon-HDLコレステロールとは何なのでしょうか?
コレステロールの種類
私たちの中で有害なイメージの強いコレステロールですが、実は数種類に分類されています。
中でも有名なものが「HDLコレステロール」と「LDLコレステロール」。「善玉コレステロール」・「悪玉コレステロール」という言い方は馴染みがあるのではないでしょうか。
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健康診断などではHDLコレステロールとLDLコレステロールそれぞれの数値に加えて総コレステロールという数値も記載されています。
しかし、「HDLコレステロール+LDLコレステロール=総コレステロール」ではないのです。
この計算式では足りない分、これこそが第三のコレステロール言われるレムナントコレステロールです。
レムナントとは、「残りもの」という意味で、動脈を傷めつける力がトップクラスの非常に厄介な存在です。
コレステロールの働き
有害というイメージの強いコレステロールですが、私たちが健康に生きるためになくてはならないものでもあります。
コレステロールの主な働きとは、細胞膜を形成すること。しかもこの形成膜は一度形成したら終わりなのではなく、徐々に劣化するため常に古くなった細胞を回収し、また新たな細胞膜を補充しなければいけません。
この古くなった細胞を回収するのがHDL(善玉)コレステロール、新しい細胞膜を補充するのがLDL(悪玉)コレステロールの働きであり、役割が異なるためどちらも必要不可欠です。
ではなぜLDLコレステロールは悪玉と呼ばれるのかというと、それはリスク因子だからです。LDLコレステロールは補充する際に余った新しいコレステロールを放置してしまうため、この余分なコレステロールが動脈硬化リスクを高めるのです。
Non-HDLコレステロールの計算法
先にご紹介したレムナントコレステロールとLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を加えたもの、それがNon-HDLコレステロールです。
文字通り「HDL(善玉)ではないコレステロール」という意味になります。
Non-HDLコレステロールの計算式はこちら。
総コレステロール-善玉コレステロール=Non-HDLコレステロール』
検査項目に、総コレステロールが記載されていない場合にはLDLコレステロール+30の数値が目安となります。
Non-HDLコレステロールの正常値・異常値
単位(mg/DL)
要注意 | 基準値 | 軽度注意 | 注意 | 要注意 |
---|---|---|---|---|
90未満 | 90〜150未満 | 150〜170未満 | 170〜210未満 | 210以上 |
※各検査機関によって正常値・異常値には誤差があります。
やや高め~軽度異常であれば、食生活の見直しや運動の促進などで改善できます。要注意レベルでは薬物療法を含む治療が必要となります。
90未満の場合も要注意レベルなので原因を特定するためにも専門医に診てもらうことが大切です。
Non-HDLコレステロール値計算法のメリット
このNon-HDLコレステロール値計算法のメリットは、正しいLDLコレステロール値が明らかになることです。
従来のLDLコレステロール計算式では、中性脂肪が400㎎/dl以上ある人や反対に低すぎる人(脂質異常症)が正しいLDLコレステロール値を知ることはできませんでした。
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ところがNon-HDLコレステロール計算式を用いることで、正しいLDLコレステロール値を知ることができ、それにより動脈硬化のリスク因子がどの程度あるのかを正確に知ることができるようになりました。
数値や体質によって必要となる治療や習慣の見直しは異なります。自分の抱えているリスクを正確に知るメリットは大きいのです。
Non-HDLコレステロールが高いことで起こるリスク
アメリカのある研究によると、30代のうちからNon-HDLコレステロールが高く160㎎/dl以上の人は、血糖値や血圧などその他検査項目などに異常がなく、かつ標準体重だった場合でも中高期の心疾患リスクがなんと4倍にも上昇することが分かっています。
これは、レムナントコレステロールの動脈硬化リスクと直結しており、たとえ正常値よりやや高めの数値だったとしても日頃の生活習慣を見直し、リスクを軽減させる必要があることが分かります。
閉経後の女性は注意が必要
女性は閉経を迎えると、女性ホルモンの一種であるエストロゲン分泌量が大幅に減少します。
しかし、このエストロゲンにはLDLコレステロールを過不足なく円滑に働かせる働きがあることから、エストロゲン減少によってLDLコレステロールの上昇を促してしまうのです。
実際、閉経後LDLコレステロールの浄書に伴いNon-HDLコレステロール値が上昇し、心筋梗塞リスクが高まることも分かっています。
閉経後にはさまざまな体の変化が生じますが、目では見えない体の内部の変化にいち早く気づくことが、健康を損ねる大きな疾病を防ぐために最も重要と言うことができるでしょう。
まとめ 健康体は自分でつくる!Non-HDLコレステロールを下げてリスク軽減
私たちにとってあまり聞き馴染みのないNon-HDLコレステロールですが、中身を知ると実は大きなリスクであることは間違いありません。
仮に現段階で数値に異常がないとしても、今後加齢やさまざまな要因によって数値が上昇するかは分かりません。Non-HDLコレステロール値の上昇は健康を損なう大きなリスクに直結することからも、日頃から対策を取ることが求められます。
自分は大丈夫。この油断こそが「あのとき注意していれば…」そんな後悔に繋がるかもしれません。
Non-HDLコレステロール値を意識し、健康体は自分の手でつくっていきましょう!