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健康診断は、身体の状態を知るためだけでなく、病気の早期発見や治療、予防を目的とした検査です。

国民病と呼ばれる、がんや糖尿病、腎臓病などの重い病気は自覚症状があまりなく、気がついた時には重症化していることケースも珍しくなりません。

どんなに重い病気でも早期に発見することで治すことができますし、日本人の死亡要因1位のがんでさえも早期治療をすることで後遺症もなく完治できます。

また、糖尿病や腎臓病などの生活習慣病も健康診断を受けることで予防もできるようになります。

健康診断の検査には、身体測定や血圧、血液検査などそれぞれ意味があり、どのような意図で行われているのか理解することが大切です。

とはいえ、検査の項目や数値は、普段聞きなれない言葉や単位が多く、悪い数値だったとしても何が原因でどこが悪いのか、わかりにくいですよね。

そこで当サイト『健康の手引き』では、健康診断の結果報告でた数値に異常がある場合の対策や改善方法についてわかりやすく解説していきます。

このサイトについて

当サイト「元気の手引き」にご訪問いただきありがとうございます。

管理人のイガラシです。薬剤師の資格を持ち、総合病院や調剤薬局、製薬会社を勤めていた経験を活かし、健康診断の大切さや必要性についてわかりやすく解説していきます。

健康診断は、1年に1度受けるべき大切な検査です。検査結果は、今の自分の身体を知ることができる貴重なデータでもあります。

よく、「健康診断って毎年受けて意味があるの?」という方がいますが、とっても意味のある検査なのです。

健康診断の目的は主に2つ!

  1. 病気の早期に発見し、治療すること
  2. 診断結果から生活習慣を改善し病気を予防すること

早期の状態では自覚症状のない病気が多くあり、症状が表れたときには重症化しているケースも少なくありません。自覚症状のない病気を早い段階で見つけるには定期的な健康診断が必要です。

また、定期的に健康診断を受け、検査結果を見ることで数値の変化を比べることができ、将来起こりうる病気の予防もできます。

このサイトでは、どの検査からどんな病気がわかるのか?や、どこの臓器が弱まっているのか?、どんな生活習慣の改善が必要か?を分かりやすくご紹介します。

この記事のもくじ

健康診断の結果で判断できること

身体測定や血圧、血液検査、尿検査、便検査など、各項目の検査でわかることもあれば、総合的に判断で病気の発見ができることもあります。

検査する項目が多いければ多いほどより正確に身体の状態を知ることができるので健康診断をする際は、多くの検査を受けるようにしましょう。

身体測定でわかること

身体測定でわかることは、身長と体重から測定するBMI値で肥満か痩せ型なのか、その人に見合った体格かどうかを判断できます。

また、へそ周りを測ることでメタボリックシンドロームに当てはまるかどうかも調べられます。

血圧測定でわかること

血圧は高血圧かどうかを調べる検査です。

血圧が高い場合、動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳卒中を引き起こします。簡単な検査ですが、非常に重要な項目です。

血液検査でわかること

血液検査では、血液中のあらゆる物質を調べることで身体の中で起きている不調や病気を調べることができます。

がんや糖尿病、腎臓や肝臓の機能低下、感染症などの多くの病気や異常を発見できます。

尿検査でわかること

尿検査では、腎臓に異常がないか調べることができます。

腎臓は、血液の老廃物をろ過する臓器で、尿たんぱくや尿潜血の数値が高い場合は何らかの異常が考えられます。また尿糖がでたときは糖尿病も考えられます。手軽な検査ですが、得られる情報は多いです。

便検査でわかること

便検査では、消化菅の異常がわかります。

便は、小腸や大腸などを通って作られます。そのため便を調べることで消化管の異常や大腸がんなどの重い病気を発見することができます。

肥満度を判定するBMI値

単位(kg/㎡)

指標 日本肥満学会による判定
18.5未満 低体重
18.5~25未満 普通体重
25~30未満 肥満(1度)
30~35未満 肥満(2度)
35~40未満 肥満(3度)
40以上 肥満(4度)

BMI値とは、Body Mass Indexの略称であり、身長に見合った体重であるかどうかを判断する値です。

BMI値の計算法は
BMI=体重(kg)×身長²(m)
となり、これは世界共通です。ですが、肥満かどうかの判定は国によって基準値が異なります。

日本では25以上の数値が肥満判定となりますが、WHO(世界保健機構)では30以上から肥満判定とされています。

数値はあくまでも簡易的に判断するものなので25以上あるからといって必ずしも不健康というわけではありません。ですが、健康でいるためには適正のBMI値であった方が病気のリスクも軽減されます。

BMI値は簡易的な検査の数値ですが、高くなればその分死亡リスクも上昇傾向にあります。糖尿病や高血圧、脂質異常症、など動脈硬化を引き起こす要因になりますし、そのままにしておくと心筋梗塞や脳卒中の発症リスクも高まります。

BMI値が高いと診断された時は、食事や生活習慣の見直すだけでなく適度な運動をすることが大切です。

参考記事:BMI値を下げたい方必見!肥満度を下げるコツとポイント

注意ポイント

BMI値が高いことだけに注意を払いがちですが、低すぎるのも危険です。

がんや心疾患による死亡リスクが上がるほか、平均寿命も短いと言われています。

健康でいるために大切な血圧検査

単位(㎜Hg)

血圧 正常値 要注意 要治療
収縮期血圧 130未満 130~160未満 160以上
拡張期血圧 85未満 85~100未満 100以上

血圧は、血管にかかる圧力のことを指します。よく「上が〇〇で下が〇〇」と言われますが、これは収縮期血圧と拡張期血圧を意味します。

上は、収縮期血圧といって心臓が血液を送り出すために収縮した時の圧力値のことで最高血圧、最大血圧とも言われます。下は、拡張期血圧といって心臓が拡張しているとき圧力値のことで最小血圧、最低血圧とも言われます。

血圧で問題なのは高血圧です。上が160以上、下が100以上だと何らかの病気の可能性が高く、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血を引き起こす要因にもなります。収縮期血圧が10上がると脳卒中のリスクが男性で約20%、女性では約15%上昇します。

また、男性の場合は、心筋梗塞や狭心症のリスクも約15%上昇するので健康診断で高血圧を指摘されたら早めの対策が必要です。

参考記事:無理せず血圧を下げたいあなたが取り入れたい生活習慣と食生活

注意ポイント

「高血圧だけど、体調は万全だし、元気!」と自覚症状のない方も多いです。ですが、高血圧と診断がでれば改善は必要です。

自覚症状がなくても血管に負荷がかかっている状態なので、将来的に心筋梗塞や脳卒中の発生リスクは上がります。

血圧を下げる改善や治療をすることで、将来起こりうる病気の予防に繋がります。

肝臓のトラブルを知ることができる肝臓系血液検査

肝臓は身体の中で最も大きな臓器の一つです。

その役割は大きく分けて3つ

  • 栄養素を吸収しエネルギーに変える
  • 胆汁の生成・分泌
  • 毒性の物質を中和する

栄養素を吸収しエネルギーに変える

食事から摂った栄養は、胃や腸で分解された後、肝臓で吸収されエネルギーとして生成されます。

肝臓で生成されたエネルギーは、血液から全身の器官や臓器に送られます。ですが、アルコールの過剰摂取や食べ過ぎなど必要以上に栄養を摂り過ぎると、肝臓に脂肪が蓄積したり、機能が低下したりするので注意しましょう。

胆汁の生成・分泌

肝臓では、一日に約1リットルほど生成されており、「胆汁酸」や「胆汁色素」、「コレステロール」、「ビリルビン」などが含まれています。

胆汁は、肝臓から常に排出される物質で、脂肪やタンパク質を分解の他にもコレステロール、老廃物を体外へ排出する大切な役割があります。

毒性の物質を中和する

肝臓には、身体にとって毒性の強い物質を中和する働きがあります。

  • アルコール
  • ニコチン
  • 薬剤

など、身体にとって負担となるものを中和して尿や胆汁と一緒に排出させる働きがあります。ですが、過剰な摂取をすると中和が追い付かなくなり、肝臓に負担をかけてしまうので注意しましょう。

このほかにも、筋肉運動で溜まった乳酸をグリコーゲンに変化させる働きもあります。

ココがポイント

肝臓の健康状態は、血液検査で知ることができる

肝臓は、身体にとって大切な臓器です、そのため検査項目も多く、総蛋白、アルブミン、AST・ALT、γ-GTPなどの数値で健康に機能しているかがわかります。

肝機能が調べられる総蛋白

単位(g/dL)

要注意 注意 基準値 注意 要注意
6未満 6.0~6.4未満 6.5~8.0未満 8.0~8.5未満 8.5以上

総蛋白は、血液中のアルブミンやグロブリンなど約100種類ある蛋白の量を計る検査です。

健康な成人男性であれば6.5~7.9g/dLですが、病気や身体に異常がある場合は、蛋白量が減少したり、増加したりします。

総蛋白の異常値で考えられる病気
基準値より高い場合
  • 脱水症
  • 悪性腫瘍
  • 急性・慢性炎症
  • 多発性骨髄腫
  • 肝硬変
基準値より低い場合
  • 栄養障害
  • ネフローゼ症候群
  • 肝障害
  • がん

注意レベルであればそこまで心配は必要ありませんが、要注意レベルなら早めの対策や病院で詳しく検査してもらいましょう。

参考記事:総蛋白は高くても低くても要注意!正常にするための改善法をご紹介します

タンパク質の合成能力が測れるアルブミン

単位(g/dL)

基準値 注意 要注意
4.0以上 3.9~3.5未満 3.5以下

アルブミンは、肝臓で生成されるたんぱく質で血液中の総蛋白の5割~7割を占めています。

基準値以上に数値が高くなることはなく、肝臓や腎臓に異常がある場合は基準値よりも数値が低くなります。

基準値が低くなると、肝障害や慢性感染症、ネフローゼ症候群、多発性骨髄腫、栄養障害などの疾患が疑われます。

参考記事:アルブミンは肝臓機能をそのまま反映する重要な数値!低い時は要注意

肝臓に異常があると数値が高くなるAST・ALT

単位(U/L)

項目 基準値 注意 要注意
AST 30以下 31~50 51以上
ALT 30以下 31~50 51以上

AST・ALTは肝臓の数値を調べる値です。ですがASTは、肝臓だけでなく心臓や腎臓、肺、脳、筋肉などにも含まれているため、肝臓以外の臓器や組織に異常がある場合でもAST値が高くなることがあります。

一方、ALTは、主に肝臓に含まれており、他の臓器や組織にはあまり存在しません。つまりALT値が高い=肝臓に異常があることが疑われます。

そのため、AST・ALT値が高い場合とAST値だけ高い場合の疑われる病気も異なってきます。

AST・ALT値が高い時に疑われる病気
  • 肝硬変
  • 肝障害
  • 肝炎
  • 急性・慢性膵炎
AST値だけが高い時に疑われる病気
  • 心筋梗塞
  • 筋ジストロフィー
  • 肺梗塞
  • 腎梗塞

AST・ALTの数値は、変化しやすいので注意レベルであればそこまでの心配は要りませんが、要注意レベルだと何らかの病気の可能性も否定できません。

肝臓の病気はそのまま放置してしまうと重症化しやすく、完治も難しい場合があるので早めの対応が必要です。

参考記事:AST・ALT値が高い方に読んで欲しい!正常に戻すためにできること

飲酒量が多い方は要注意のγ-GTP

単位(U/L)

基準値 注意 要注意
50以下 51~100以下 101以上

γ-GTPは、毒性の物質を中和する際に必要となる酵素です。肝臓や胆道になんらかの異常がある場合数値が高くなります。

基準値を超えた時に考えられる病気は、急性・慢性肝炎、アルコール性肝炎、薬物性肝障害などの他にも胆道系の病気(がんや胆管の炎症など)も疑われます。

血液検査でγ-GTPの数値だけ高い場合は、「お酒の飲みすぎ」が原因となります。その他にも持病などで薬を服用している場合も数値が高くなることがあります。

γ-GTPの数値が高いときは、お酒の量を減らしたり、食事や生活習慣を見直すことが大切です。

参考記事:γ-GTP値が異常値に!正常値に戻すためのポイントを知っておきましょう

注意ポイント

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど、自覚症状がなく病気が進行していくので数値に異常があるときは注意が必要です。

また、肝臓系の病気は、特効薬が少なく一度重症化すると命の関わることが多いです。

病気を予防するためにも生活習慣の改善や定期的な検査を行うようにしましょう。

腎臓のろ過能力が機能しているか調べられる腎臓系血液検査

腎臓には心臓から大量の血液が送られてきます。

その血液は、腎臓でろ過され、水分と老廃物となって膀胱へ送られ尿となり排出されます。

血液検査では、主にクレアチニン値が重要視されています。本来クレアチニンは、尿として排出される物質なので血液の量が増えた場合、腎臓になんらかの異常があることがわかります。

腎臓のろ過機能が調べられるクレアチ二ン

単位(mg/DL)

性別 基準値 注意 要注意
男性 1.00以下 1.01~1.30未満 1.30以上
女性 0.70以下 0.71~1.00未満 1.00以上

クレアチ二ンは、筋肉を動かすときに発生するタンパク質で、身体にとって不要な物質です。男性と女性では、筋肉量が異なるので基準値が異なります。

主に尿から排出されるのでクレアチ二ンの数値が高い場合は、腎臓の機能が低下していることが疑われます。

クレアチニンの数値が高いときに考える病気

  • 急性・慢性腎不全
  • 腎炎
  • 心不全

などが考えられます。

クレアチニンの数値は高ければ高いほど腎臓が機能していないことを示します。

低い数値のときは基本的に問題ありませんが、低すぎる場合は、尿崩症や筋ジストロフィーが疑われます。

ただし、筋肉量の多い男性は、数値が高くなる傾向がありますし、あまり運動しない方や筋肉量の少ない女性では数値が低くなります。

また、腎臓廟の初期症状では、クレアチニンの数値に異常がでないこともあるのでこれだけで判断するのは難しいです。

とはいえ、数値が高いときは、腎臓に負担がかかっている証拠です。腎臓は、自覚症状が表れた時には重症化しているケースが多いので、クレアチニンの数値が要注意レベルに達してしまったら、病院にて再検査や治療をおこなってください。

参考記事:クレアチニンの数値が高い・低い場合の原因と改善方法について

腎臓の状態を知ることができるeGFR(イージーエフアール)

単位(ml/min/1.73m2)

ステージ eGFR 重症度
G1 90以上 正常または高値
G2 60〜90未満 正常または軽度低下
G3a 45〜60未満 軽度〜中等度低下
G3b 30〜45未満 中等度〜高度低下
G4 15〜30未満 高度低下
G5 15未満  末期腎不全

eGFRは、推算糸球体ろ過量と言い、腎臓の状態を表した数値になります。

90以上が正常で6段階のステージに分別されます。G2から軽度の障害になりますが、ほとんど自覚症状もなく食生活や生活習慣を見直すことで改善できます。

参考記事:eGFRが低いのは危険!腎不全になる前に数値を上げる対策が必須

G3からは、腎臓の機能が半分低下している状態です。このあたりから、貧血やむくみ、尿の異常などの症状が表れ、専門医による治療をおすすめします。

G4になると、腎臓の機能が著しく低下しているため回復は難しい状態です。これ以上悪くなると透析が必要になるので、症状を悪化させない治療を重点的にすることになります。

G5は、透析か移植が必要な状態です。G3やG4よりも厳しい食事制限や生活習慣の改善が必要になり、日常生活も制限されてしまいます。

腎臓は、肝臓と同じように「沈黙の臓器」と呼ばれ、初期では症状がでないため重症化してから発見されることが多いです。

ですが、重症化してしまうと、完治は難しく透析や移植が必要になってきます。そうならないためにも数値に異常がでたときは、専門医による適切な治療を受けるようにしましょう。

注意ポイント

腎臓の疾患は初期症状がでないと言われていますが、まったくないわけではありません。

尿が茶色や赤ワインの色であったり、身体がむくんだり、だるかったり、トイレが近くなるなどの症状があります。これらの症状が続く場合、腎臓の機能が弱まっている可能性があるので重症化しないよう予防をしましょう。

脂質系血液検査では動脈硬化の進行度合いや危険性がわかる

脂質系の血液検査では、血液中の脂質の量を調べます。

血液中にコレステロールや脂質などが多いと動脈硬化の原因となります。

食事で摂取した脂質(コレステロール)や糖質は、身体の中でエネルギーに変わり、不要なものは排出されます。これを脂質代謝といいます。

この脂質代謝が効率よく行われなかったり、脂質や糖質の取りすぎで血液中の脂質の量が増えることを脂質異常症といいます。

一つでも当てはまれば脂質異常症

  • 低HDLコレステロール血症
    (HDLコレステロール40mg/dL未満)
  • 高LDLコレステロール血症
    (LDLコレステロール140mg/dL以上)
  • 境界域高コレステロール血症
    (LDLコレステロール120〜139mg/dL以上)
  • 高中性脂肪血症
    (中性脂肪150mg/dL以上)

脂質異常症になると、血液中の脂質が多くなることで血管が詰まりやすくなるため、動脈硬化を引き起こします。

動脈硬化をそのまま放っておくと、心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気の危険性があります。

脂質系血液検査は、心筋梗塞や脳梗塞などの病気の予防や進行を防ぐために脂質の量を計測する大切な検査です。

動脈硬化を防止してくれるHDLコレステロール(善玉コレステロール)

単位(mg/DL)

要注意 注意 基準値 要注意
29以下 30〜39以下 40〜119以下 120以上

HDLコレステロールは、身体の余計なコレステロールを回収して肝臓まで運ぶ役割があります。この役割が、動脈硬化を予防や進行を遅らせるため善玉コレステロールと呼ばれています。

そのため、HDLコレステロール値が低い場合、動脈硬化が進んでいることになります。

HDLコレステロールは低い時が問題

基準値より低い値では動脈硬化が進みやすくなります。

血管に脂質が溜まる→動脈硬化が進行→心筋梗塞や脳梗塞の発症

そのまま放置してしまうと心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクが高くなります。

一方、HDLコレステロールがある程度高い方は、血管が健康的で心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクが低く、長生きする人が多いので長寿症候群とも呼ばれています。

HDLコレステロールを基準値よりも低くするためには、食生活の改善と適度な運動をすることが大切です。

リンク→コレステロール

HDLコレステロールが異常に高い数値を示している場合、他の病気が疑われるので一度専門医に診てもらうようにしましょう。

動脈硬化を進めるLDLコレステロール(悪玉コレステロール)

単位(mg/DL)

要注意 基準値 軽度注意 注意 要注意
59以下 60〜120未満 120〜140未満 140〜180未満 180以上

LDLコレステロールは、動脈硬化の危険度を見るうえでもっとも重要とされる検査です。

血液中にLDLコレステロールが増えると、血管壁に留まり血管を狭く硬くするので動脈硬化が進行します。そのためLDLコレステロールは、悪玉コレステロールとも呼ばれています。

LDLコレステロール値は、高くなるほど動脈硬化の進行します。その他にも、甲状腺機能低下やネフローゼ症候群、糖尿病などの病気の危険性もあります。

そのため140を超えるようであれば、食生活や生活習慣などの改善が必要です。

参考記事:LDLコレステロール値を下げる方法は日々の食事と習慣を見直すこと

基準値よりも数値が低い場合は、肝硬変や甲状腺機能亢進症、栄養障害などの病気の可能性もあります。

血液をドロドロにする中性脂肪(トリグリセリド)

単位(mg/DL)

要注意 基準値 軽度注意 注意 要注意
30未満 30〜150未満 150〜300未満 300〜500未満 500以上

中性脂肪は、肝臓から全身にエネルギーとして供給されますが、食事などから過剰に摂取すると内臓脂肪として蓄えられメタボの原因になります。

また、血液をドロドロにするので血流を悪くするだけでなく、血管を傷つけるため動脈硬化の要因となります。

主な改善方法は、過度な食事や飲酒を控え、毎日軽い運動をすることです。特に中性脂肪値が300以上の場合は、数値を下げるために生活習慣を改善しましょう。

参考記事:中性脂肪が高いと血液はドロドロに!下げる対策法は生活習慣にアリ

薬などの影響で数値が低くなることがありますが、極端に低い場合は、栄養不良や慢性肝障害などの危険もあるので注意しましょう。

動脈硬化の進行度がわかるNon-HDLコレステロール

単位(mg/DL)

要注意 基準値 軽度注意 注意 要注意
90未満 90〜150未満 150〜170未満 170〜210未満 210以上

Non-HDLコレステロール値は、動脈硬化の兆候や進行具合がわかる検査です。

以前まで動脈硬化の進行度合いは、総コレステロール値(VLDL、LDL、HDLコレステロールの合計値)で判断していました。

しかし、HDLコレステロールには上記でもお話ししたように動脈硬化の進行を遅らせる効果があるため、現在では総コレステロールからHDLコレステロールを引いたNon-HDLコレステロール値で判断するようになりました。

Non-HDLコレステロールの計算式

Non-HDLコレステロール=総コレステロール(mg/dL)-HDLコレステロール(mg/dL)

Non-HDLコレステロールには、悪玉コレステロールのLDLコレステロール以外にもレムナントと呼ばれるリポたんぱくが含まれており、数値が高ければ高いほど、動脈硬化の進行しやすくなります。

ちなみに、レムナントもLDLコレステロールと同じように血管を傷つけるので動脈硬化の要因となります。

数値が170以上の場合、LDLコレステロール値が高いことになるので食生活や生活習慣の改善が必要です。

間食や食べすぎを控え、ウォーキングなどの軽い運動(30分以上)を行うことが大切です。

参考記事:Non-HDLコレステロール値を簡単に下げる大切な5つのこと

数値が高く、要注意レベルの場合、脂質異常症やネフローゼ症、心筋梗塞などが疑われますので専門医に診てもらうようにしましょう。

逆に基準値よりも低い場合は、肝硬変や栄養障害の危険性もあります。

健康診断は身体の異変をみつける大切な検査

身体の異常は自分ではわからないものです。どこも悪くないと思っていても、実は病気だった!ということは珍しいことではありません。

特に糖尿病など多くの生活習慣病は、初期症状がほとんどないため発見が遅れてしまうケースが多いです。自覚症状がでたときには、すでに重症化していることも珍しくありません。

また、腎臓系や肝臓系の病気は、特効薬がないため重症化すると治療に時間がかかるだけでなく、完治しないこともあります。

そうならないためにも、定期的に健康診断を受けるようにしましょう。

健康診断で病気の予防や早期治療が可能に!

健康診断は、自分の身体の異変を数値化してくれる便利な検査です。

注意レベルの数値であれば食生活や生活習慣の改善することで将来起こりうる病気の予防ができます。

また、がんなどの重い病気でも早期に発見することが生存率は高くなりますし、完治することも珍しいことではありません。

病気の予防、早期発見のためにも定期的な健康診断は受けるようにしましょう。

検査結果に『要治療』『要精密検査』がでたらすぐに再検査を行いましょう

検査報告に『要治療』や『要精密検査』と結果がでた場合は、すぐに治療、または再検査を行いましょう。

精密検査では、CTや内視鏡、異常な組織を採取する病理検査などが行い、健康診断より正確な診断を行ってくれます。

初期症状がない病気はたくさんあり、自覚症状がないからといって検査結果に異常が出ていても精密検査を受けない方も多くいらっしゃいます。ですが、これは危険なことです。

『病院の検査はなんだか怖い』と感じる方も多いですが、検査自体痛みを伴うものは少ないですし、がんなどの命に関わる病気を早期に発見できるメリットがあります。

ちなみに数値に異常がある=病気ではありません。

血圧や血液検査などその日の体調によって数値が悪くなってしまうこともあります。なので正確な検査結果を知るためにも『要治療』や『要精密検査』の項目があれば、再検査を必ず受けるようにしましょう。

『要経過観察』や『生活改善』の結果がでても安心できません

検査結果で『要経過観察』や『生活改善』は、生活習慣病の検査項目でよく出される判定になります。

再検査するほどでもありませんが、そのままの生活を続けてしまうのはよくありません。

『要経過観察』や『生活改善』の判定は、『要治療』や『要精密検査』判定の一歩手前です。

つまり、病気なる可能性があることを示しています。

『まだ、大丈夫』と考えずに食生活や生活習慣の改善を積極的に行っていきましょう。

検査結果は毎年保管してチェックしましょう

健康診断の結果は、捨てないで保管しておきましょう。

過去の検査結果と比較することで身体のどこが悪くなっているのかがわかりますし、予防にも繋がります。

体重や血圧、血液検査の結果などで自分の身体の変化を知ることできる情報です。

病気の早期発見や予防のためだけでなく、健康管理を見直すためにも検査結果は捨てないようにしましょう。

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管理人のイガラシと申します。薬剤師の資格を持ち、総合病院や調剤薬局に勤めていた経験もある健康のプロです。そんな私がこのサイトを立ち上げたのは、健康診断の大切さや必要性をみなさんに知って欲しいからです。「元気の手引き」では、健康診断の結果で身体のどこが悪いのか、数値が悪かった時はどうすれば良いのかなど分かりやすく解説しているので是非、お役立てください。

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